ぼちぼち

この頃は、夜の風が気持ちいいから散歩してる。

野良猫と出会った。優しい声で語りかけて、そっと近づいて、精一杯やさしくしてるのに野良猫が怯えて逃げていくから、わたしはまるでやさしいふりをした悪人みたいだった。なにか見透かされたような気がしていやだった。きちんとシートベルトしてるのに、パトカーを見かけると変にドキドキしてしまう感じ。逃げてく野良猫の後ろ姿には、パトカーと同じおそろしさがある。背筋を伸ばして歩いても、背骨の側弯症は治らないのだ。

イヤフォンが壊れちゃって、即席の安いイヤフォンを使ってる。レコーディングした新曲を、安いイヤフォンで、悪い音質で聴いてる。わたしの拙いベースの音はノイズに埋もれてラッキーだし残念だしやっぱり良い曲だし、その辺の草とか花とか、エジプトのミイラにも聴かせてあげたい。

二度寝しようかな、とカーペンターズを聴きながら白いカーテンが揺れるのを見つめていたら、じんわり透けてく時間に癒されて、憂鬱は萎んで焦りは膨らんだ。Why do birds suddenly appear〜と考えてみたけど心底どうでもよくて、近所の道路の黒いしみのうえで何があったのか、何が死んでしまったのか気にしてる。

あじさいが枯れたからもう夏が来ちまうよ。リジーンズのみんなは元気そうだけど、元気にしてるかしら。レコーディング最終日もこのあいだのバンド練も欠席してまったから、みんなは元気かな？と案じたりしてる。みんなは夏が似合う。夏が似合うよ

カラフルなワンピースを着て踊りたい、かき氷で雪合戦したい、私はおそらく冬が似合うんだけど、本気だして夏も似合っちゃおうかなー